Webサービスの平均寿命は約10ヶ月。運用1年は持たせる目線でやっていこう!

今回は、Webサービスの寿命という点について、当サイト登録データを用いて考えていきたいと思います。

考えるきっかけ

本サイトにも登録頂いているWorktterさんのブログを読んでいた時です。こちらの「私のwebサービスと同時期にスタートしたwebサービスが停止している話する?」で、Webサービスを開始して1ヶ月くらいで飽きたりして終わってないかという話がありました。

確かにWebサービス、Webサイトなんでもいいのですが、ここではWebサービスとして個人、法人問わず少なくともWebサービスだといってリリースしたものが趣味だろうがなんだろうがそもそもどれくらい運用したり、持つのだろうと思いました。

僕の個人の感覚では、1ヶ月くらいは持つけどサイトリリース=作成というのは終わり、そこから運用や手応えを見ながらの改善となっていくので非常に地味です。作成出来ればいいという人は確かに1ヶ月くらいで終わりそうですね。

本サイトデータを用いた検証

ネットを少し探してもWebサイトの存続期間や平均寿命などが見つからないため、手持ちのデータがあるじゃないかということに気づき早速やってみました。

本サイトに登録された242件のWebサービスについて、基本的に本サイトに登録した日を概ねリリース月として(1/15でも1月、1/31でも1月ってことです)、現在2017年11月3日を持ってチェックしてみました。

URLへアクセスして死んでいたり、タイムアウトが激しいというものを仮に閉鎖ということとして、リニューアルなどの例もありえますが外れ値としてスルーします。その結果が以下になります。

また、単純に現在の日付から登録日付を引いたものを存続月数として計算しました。4ヶ月程度から15ヶ月(1年3ヶ月)と開きはあります。あと、本サイトは2016年8月から開始しています。

検証結果

対象サービス数:242

閉鎖等該当URLにアクセスできないサービス:23

閉鎖率:9.5%

平均存続月数:10.5ヶ月

所有形態割合(個人/法人):個人70%、法人30%

となりました。あくまで参考程度というところですが、あなたはどう感じますか?

最後の所有形態とは運営者が個人か法人かという参考程度です。まあ当たり前ですが個人サイトが多くなくなるということですね。

ちなみにこれらはrubyで簡単なプログラムを書いてアクセスエラーのサイトを絞り込んで、目視でChromeでアクセスして検証しました。リニューアルは例外として、サイト応答時間が長いなどはたまたまサーバが死んでいるとかも考えられますので、完全に「閉鎖」というわけでもないかもしれません。

そうなると、閉鎖率はもうちょっと落ちるので、一桁%と考えておくのがいいかもしれません。ただこれは1年くらい経って検証しただけなのと、本サービスに宣伝する人は逆に90%は死んでないとも言えます。1年3ヶ月を9割のサイトは超えてきているということです。

サイトコンテンツはあっても「放置」されていることもありますし、見極めは難しいです。ただURLにアクセスできないのは死だとするのが分かりやすく、今回はそういう基準で見てみました。

Webサイトを個人でやるなら10ヶ月を超えろ

ものすごくシンプルにいえば、もちろん個別で色々違えど、平均10ヶ月は存続出来るといえます。本当はもっと短い気がしますが、それはそれとして、あくまでデータとしてはこうだったという話です。

よって、個人が7割ということを踏まえれば、より組織がなければ消滅しやすいといえますし、逆に10ヶ月持てば継続のコツが得られて見えてくるとも言えそうです。

続けるコツとしては、

  • 個人でWebサービスをやるなら10ヶ月以上を超えるような運用を想定する
  • 法人のように組織や仲間、チームでやれば運営継続率は上がるように思える

ということがいえます。

ところで、10ヶ月続けるとは、フルスクラッチなどでがっつりつくってプロレベルの人がやってもサービスによりけりですが、一週間はかかる、または仕事の合間なら1ヶ月、テストもしっかりなら3ヶ月とか、つまり1-3ヶ月はかかります。それが作成フェーズだといえます。

その後公開して、そこから半年程度は運用とフィードバックをやり続けることになります。宣伝とかもですね。継続するWebサービスを作るならそれくらいは「面倒」でも考えて置く必要があると言えます。逆に言えば、「そういうのが面倒」だと思えばきっとサービスは続けられないかなと思います。

例外として、さくっとつくってそれを回していたらなんとかなったケースもありますが、基本的にその場合は「非常に手応えが大きかった」とか「自分がうまくやりたいものでかついい感じのタイミングだった」とかで、やや偶然に近いのではないかなと思います。多くはそうならないので、10ヶ月は持つ、もっといえば1年ですよね、1年くらいは持つような感じでやらないと駄目かなと思います。

そうなると、冒頭で紹介したWorktterさんの記事はわりと的を射ていると思っていて、最低1年はやるというのはいい方針かなと感じました。

もちろん10ヶ月や1年は目安でしかなく、そこまでできれば絶対大丈夫とかってことではなく、あくまで生きているという話です。リビングデッドとして死んだように生きる=放置サイトとかはまた違うでしょうし、サイトはあるけどサービスの意味とか価値はあまりない=活用されてないのもまた違うかもしれません。1年持ったら良いということでなく、1年くらいやっていけば要領を得ていって運用も上手くなっていくのかなというところが本記事の最も伝えたいことになります。

おわりに

ざっくりですが、例えば100サイトあって1年で10サイトくらいは消えます。10%くらい死ぬといえます。単純にいえば、3年経てば30サイト死んでいることになります。Webサービスのコンテンツやサービスが何かにもよりますが、3年使われ続ける、または自分が使い続けるということを考えても今の時代の流れを考えると結構な期間だとも言えます。

同時にWebサービスもたくさん立ち上がるので、毎年10%死ぬから、3年後に7割残っているうちに入れるかという考えも出来ますが、あまり直観的でないため使えないかもしれません。

一方で、サイトを作成したり公開していくフェーズは楽しいものです。夢や希望がありワクワクします。しかし現実は地味で泥臭いことをやる、そこで地味に喜ばれたりする。そういうほうがリアルであり事実かなと思います。この運用フェーズは夢も希望もないというよりも、全体を自分でやるのであれば、作成だけして終わりでなく運用までしてトータルでみてどうかという視点が大事になります。運用も絶えられる姿勢や視点があればきっとそのサービスはいい感じで花開くのではないかなと思います。もちろん必ずとはいえませんが、確率は高くなりそうです。

運用が大変というのは、最初出したサービスをそのまま回し続けることで終わればいいのですけど多くは改良であったり、修正などに時間がかかるってことですね。

今回のデータがこれからWebサービスを作ったり、運用している人のささやかな目安になれば何よりです。

編集者 大橋 弘宜